日蓮大聖人御書
ネット御書
(立正安国論)
<1.前 P0020 2.次>

大風万姓を吹殺し国土山河樹木一時に滅没し、非時の大風黒風赤風青風天風地風火風水風あらん是くの如く変ずるを五の難と為すなり、天地国土亢陽し炎火洞燃として百草亢旱し五穀登らず土地赫燃と万姓滅尽せん是くの如く変ずる時を六の難と為すなり、四方の賊来つて国を侵し内外の賊起り、火賊水賊風賊鬼賊ありて百姓荒乱し刀兵刧起らん是くの如く怪する時を七の難と為すなり」大集経に云く「若し国王有つて無量世に於て施戒慧を修すとも我が法の滅せんを見て捨てて擁護せずんば是くの如く種ゆる所の無量の善根悉く皆滅失して其の国当に三の不祥の事有るべし、一には穀貴二には兵革三には疫病なり、一切の善神悉く之を捨離せば其の王教令すとも人随従せず常に隣国の侵クする所と為らん、暴火横に起り悪風雨多く暴水増長して人民を吹マし内外の親戚其れ共に謀叛せん、其の王久しからずして当に重病に遇い寿終の後大地獄の中に生ずべし、乃至王の如く夫人太子大臣城主柱師郡守宰官も亦復た是くの如くならん」[已上]。
 夫れ四経の文朗かなり万人誰か疑わん、而るに盲瞽の輩迷惑の人妄に邪説を信じて正教を弁えず、故に天下世上諸仏衆経に於て捨離の心を生じて擁護の志無し、仍て善神聖人国を捨て所を去る、是を以て悪鬼外道災を成し難を致す。
 客色を作して曰く後漢の明帝は金人の夢を悟つて白馬の教を得、上宮太子は守屋の逆を誅して寺塔の構を成す、爾しより来た上一人より下万民に至るまで仏像を崇め経巻を専にす、然れば則ち叡山南都園城東寺四海一州五畿七道仏経は星の如く羅なり堂宇雲の如く布けり、子の族は則ち鷲頭の月を観じ鶴勒の流は亦鶏足の風を伝う、誰か一代の教を褊し三宝の跡を廃すと謂んや若し其の証有らば委しく其の故を聞かん。
 主人喩して曰く仏閣甍を連ね経蔵軒を並べ僧は竹葦の如く侶は稲麻に似たり崇重年旧り尊貴日に新たなり、


<1.前 P0020 2.次>