日蓮大聖人御書
ネット御書
(下山御消息)
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「七日が間に若一雨も下らば御弟子となりて二百五十戒具さに持たん上に、念仏無間地獄と申す事ひがよみなりけりと申すべし余だにも帰伏し奉らば我弟子等をはじめて日本国大体かたぶき候なん」と云云、七日が間に三度の使をつかはす、然れどもいかんがしたりけむ一雨も下らざるの上、頽風ヒ風旋風暴風等の八風十二時にやむ事なし剰二七日まで一雨も下らず風もやむ事なし、されば此の事は何事ぞ和泉式部と云いし色好み能因法師と申せし無戒の者此は彼の両火房がいむところの三十一文字ぞかし、彼の月氏の大盗賊南無仏と称せしかば天頭を得たり、彼の両火房並に諸僧等の二百五十戒真言法華の小法大法の数百人の仏法の霊験いかなれば婬女等の誑言大盗人が称仏には劣らんとあやしき事なり、此れを以て彼等が大科をばしらるべきにさはなくして還つて讒言をもちゐらるるは実とはおぼへず所詮日本国亡国となるべき期来るか、又祈雨の事はたとひ雨下らせりとも雨の形貌を以て祈る者の賢不賢を知る事あり雨種種なり或は天雨或は竜雨或は修羅雨或は雨或は甘雨或は雷雨等あり、今の祈雨は都て一雨も下らざる上二七日が間前よりはるかに超過せる大旱魃大悪風十二時に止む事なし、両火房真の人ならば忽に邪見をもひるがへし跡をも山林にかくすべきに其の義なくして面を弟子檀那等にさらす上剰讒言を企て日蓮が頚をきらせまいらせんと申し上あづかる人の国まで状を申し下して種をたたんとする大悪人なり、而るを無智の檀那等は恃怙して現世には国をやぶり後生には無間地獄に堕ちなん事の不便さよ、起世経に云く「諸の衆生有りて放逸を為し清浄の行を汚す故に天雨を下さず」又云く「不如法あり慳貪嫉妬邪見顛倒なる故に天則ち雨を下さず」又経律異相に云く「五事有て雨無し一二三之を略す四には雨師婬乱五には国王理をもつて治めず雨師瞋る故に雨ふらず」云云、此等の経文の亀鏡をもて両火房が身に指し当て見よ少もくもりなからん、一には名は持戒ときこゆれども実には放逸なるか二には慳貪なるか三には嫉妬なるか四には邪見なるか五には婬乱なるか此の五にはすぐべからず、又此の経は両火房一人には限るべからず昔をかがみ今を


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