日蓮大聖人御書
ネット御書
(爾前二乗菩薩不作仏事)
<1.前 P0426 2.次>

阿含方等般若も亦爾なり後番の五味皆成仏道の本懐なる事能わず、今此の妙経は十界皆成仏道なること分明なり彼の達多無間に堕するに天王仏の記を授け竜女成仏し十羅刹女も仏道を悟り阿修羅も成仏の総記を受け人天二乗三教の菩薩円妙の仏道に入る、経に云く我が昔の所願の如きは今者已に満足しぬ一切衆生を化して皆仏道に入らしむと云云、衆生界尽きざるが故に未だ仏道に入らざる衆生有りと雖も然れども十界皆成仏すること唯今経の力に在り故に利生の本懐なり」と云云。
 又云く「第一に妙経の大意を明さば諸仏は唯一大事の因縁を以ての故に世に出現し一切衆生悉有仏性と説き聞法観行皆当に作仏すべし、抑仏何の因縁を以て十界の衆生悉く三因仏性有りと説きたもうや、天親菩薩の仏性論縁起分の第一に云く如来五種の過失を除き五種の功徳を生ずるが為に故に一切衆生悉有仏性と説きたもう[已上]謂く五種の過失とは一には下劣心二には高慢心三には虚妄執四には真法を謗じ五には我執を起すなり、五種の功徳とは一には正勤二には恭敬三には般若四には闍那五には大悲なり、生ずること無しと疑うが故に大菩提心を発すこと能わざるを下劣心と名け、我に性有つて能く菩提心を発すと謂えるを高慢と名け、一切の法無我の中に於て有我の執を作すを虚妄執と名け一切諸法の清浄の智慧功徳を違謗するを謗真法と名け意唯己を存して一切衆生を憐むことを欲せざるを起我執と名く此の五に翻対して定めて性有りと知りて菩提心を発す」と。
                     日 蓮 花押


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