日蓮大聖人御書
ネット御書
(顕謗法抄)
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第一に教とは如来一代五十年の説教は大小権実顕密の差別あり、華厳宗には五教を立て一代ををさめ其の中には華厳法華を最勝とし華厳法華の中に華厳経を以て第一とす、南三北七並に華厳宗の祖師日本国の東寺の弘法大師此の義なり、法相宗は三時に一代ををさめ其の中に深密法華経を一代の聖教にすぐれたりとす、深密法華の中法華経は了義経の中の不了義経深密経は了義経の中の了義経なり、三論宗に又二蔵三時を立つ三時の中の第三中道教とは般若法華なり、般若法華の中には般若最第一なり、真言宗には日本国に二の流あり東寺流は弘法大師十住心を立て第八法華第九華厳第十真言法華経は大日経に劣るのみならず猶華厳経に下るなり、天台の真言は慈覚大師等大日経と法華経とは広略の異法華経は理秘密大日経は事理倶密なり、浄土宗には聖道浄土難行易行雑行正行を立てたり浄土の三部経より外の法華経等の一切経は難行聖道雑行なり、禅宗には二の流あり一流は一切経一切の宗の深義は禅宗なり一流は如来一代の聖教は皆言説如来の口輪の方便なり禅師は如来の意密言説にをよばず教外の別伝なり、倶舎宗成実宗律宗は小乗宗なり天竺震旦には小乗宗の者大乗を破する事これ多し日本国には其の義なし。
 問うて云く諸宗の異義区なり一一に其の謂れありて得道をなるべきか又諸宗皆謗法となりて一宗計り正義となるべきか、答えて云く異論相違ありといえども皆得道なるか、仏の滅後四百年にあたりて健駄羅国の迦弐色迦王仏法を貴み一夏僧を供し仏法をといしに一一の僧異義多し此の王不審して云く仏説は定て一ならんと終に脇尊者に問う、尊者答て云く金杖を折つて種種の物につくるに形は別なれども金杖は一なり形の異なるをば諍うといへども金たる事をあらそはず、門門不同なればいりかどをば諍えども入理は一なり等と云云、又求那跋摩云く諸論各異端なれども修行の理は二無し偏執に是非有りとも達者は違諍無し等と云云、又五百羅漢の真因各異なれども同く聖理をえたり、大論の四悉檀の中の対治悉檀摂論の四意趣の中の衆生意楽意趣此等は此の善を嫌い此の善をほむ、


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