日蓮大聖人御書
ネット御書
(法華経題目抄)
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阿闍世太子すでに父の王を殺せしかば提婆達多は又仏をうかがい大石をもちて仏の御身より血をいだし阿羅漢たる華色比丘尼を打ちころし五逆の内たる三逆をつぶさにつくる、其の上瞿伽梨尊者を弟子とし阿闍世王を檀那とたのみ五天竺十六の大国五百の中国等の一逆二逆三逆等をつくれる者は皆提婆が一類にあらざる事これなし、譬えば大海の諸河をあつめ大山の草木をあつめたるがごとし、智慧の者は舎利弗にあつまり神通の者は目連にしたがひ悪人は提婆にかたらいしなり、されば厚さ十六万八千由旬其の下に金剛の風輪ある大地すでにわれて生身に無間大城に堕ちにき、第一の弟子瞿伽梨も又生身に地獄に入る旃遮婆羅門女もおちにき波瑠璃王もをちぬ善星比丘もおちぬ、又此等の人人の生身に堕ちしをば五天竺十六の大国五百の中国十千の小国の人人も皆これをみる、六欲四禅色無色梵王帝釈第六天の魔王も閻魔法王等も皆御覧ありき、三千大千世界十方法界の衆生も皆聞きしなり、されば大地微塵劫はすぐとも無間大城を出づべからず、劫石はひすらぐとも阿鼻大城の苦はつきじとこそ思い合いたりしに、法華経の提婆品にして教主釈尊の昔の師天王如来と記し給う事こそ不思議にをぼゆれ、爾前の経経実ならば法華経は大妄語法華経実ならば爾前の諸経は大虚誑罪なり、提婆が三逆を具に犯して其の外無量の重罪を作りし天王如来となる、況や二逆一逆等の諸の悪人の得道疑いなき事譬えば大地をかへすに草木等のかへるがごとく堅石をわる者ュ草をわるが如し、故に此の経をば妙と云ふ。
 女人をば内外典に是をそしり三皇五帝の三墳五典に諂曲の者と定む、されば災は三女より起ると云へり国の亡び人の損ずる源は女人を本とす、内典の中には初成道の大法たる華厳経には「女人は地獄の使なり能く仏の種子を断つ外面は菩薩に似て内心は夜叉の如し」と云い、雙林最後の大涅槃経には「一切の江河必ず回曲有り一切の女人必ず諂曲有り」と、又云く「所有三千界の男子の諸の煩悩合集して一人の女人の業障と為る」等云云、大華厳経の文に「能く仏の種子を断つ」と説かれて候は女人は仏になるべき種子をいれり、譬えば大旱@の時


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