日蓮大聖人御書
ネット御書
(秋元御書)
<1.前 P1073 2.次>

故に或は六万八万四十八万返或は十返百返千返なり、而るを日蓮一人阿弥陀仏は無間の業禅宗は天魔の所為真言は亡国の悪法律宗持斎等は国賊なりと申す故に上一人より下万民に至るまで父母の敵宿世の敵謀叛夜討強盗よりも或は畏れ或は瞋り或は詈り或は打つ、是を繧骼メには所領を与へ是を讃むる者をば其の内を出だし或は過料を引かせ殺害したる者をば褒美なんどせらるる上両度まで御勘気を蒙れり、当世第一の不思議の者たるのみならず人王九十代仏法渡りては七百余年なれどもかかる不思議の者なし、日蓮は文永の大彗星の如し日本国に昔より無き天変なり、日蓮は正嘉の大地震の如し秋津洲に始めての地夭なり、日本国に代始まりてより已に謀叛の者二十六人第一は大山の王子第二は大石の山丸乃至第二十五人は頼朝第二十六人は義時なり、二十四人は朝は責められ奉り獄門に首を懸けられ山野に骸を曝す、二人は王位を傾むけ奉り国中を手に拳る王法既に尽きぬ、此等の人人も日蓮が万人に悪まるるに過ぎず、其の由を尋ぬれば法華経には最第一の文あり、然るを弘法大師は法華最第三慈覚大師は法華最第二智証大師は慈覚の如し、今叡山東寺園城寺の諸僧法華経に向いては法華最第一と読めども其の義をば第二第三と読むなり、公家と武家とは子細は知ろしめさねども御帰依の高僧等皆此の義なれば師檀一同の義なり、其の外禅宗は教外別伝と云云法華経を蔑如する言なり、念仏宗は千中無一未有一人得者と申す心は法華経を念仏に対して挙げて失ふ義なり、律宗は小乗なり正法の時すら仏免し給う事なし況や末法に是を行じて国主を誑惑し奉るをや、妲己妹喜褒似の三女が三王を誑らかして代を失いしが如し、かかる悪法国に流布して法華経を失う故に安徳尊成等の大王天照太神正八幡に捨てられ給いて或は海に沈み或は島に放たれ給い相伝の所従等に傾けられ給いしは天に捨てられさせ給う故ぞかし、法華経の御敵を御帰依有りしかども是を知る人なければ其の失を知る事もなし、「知人は起を知り蛇は自ら蛇を識る」とは是なり。


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