日蓮大聖人御書
ネット御書
(兵衛志殿御返事)
<1.前 P1099 2.次>

ふるきあかづきなんどして候こそで一なんどきたるものは其身のいろ紅蓮大紅蓮のごとし、こへははは大ばば地獄にことならず、手足かんじてきれさけ人死ぬことかぎりなし、俗のひげをみればやうらくをかけたり、僧のはなをみればすずをつらぬきかけて候、かかるふしぎ候はず候に去年の十二月の卅日よりはらのけの候しが春夏やむことなし、あきすぎて十月のころ大事になりて候しがすこして平愈つかまつりて候へどもややもすればをこり候に、兄弟二人のふたつの小袖わた四十両をきて候が、なつのかたびらのやうにかろく候ぞましてわたうすくただぬのものばかりのものをもひやらせ給へ、此の二のこそでなくば今年はこごへしに候なん。
 其上兄弟と申し右近の尉の事と申し食もあいついて候、人はなき時は四十人ある時は六十人、いかにせき候へどもこれにある人人のあにとて出来し舎弟とてさしいでしきゐ候ぬればかかはやさにいかにとも申しへず心にはしずかに、あじちむすびて小法師と我が身計り御経よみまいらせんとこそ存じて候に、かかるわづらはしき事候はず、又としあけ候わばいづくへもにげんと存じ候ぞ、かかるわづらわしき事候はず又又申すべく候。
 なによりもえもんの大夫志ととのとの御事ちちの御中と申し上のをぼへと申し面にあらずば申しつくしがたし、恐恐謹言。
= 十一月廿九日                         日蓮花押
%  兵衛志殿御返事


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