日蓮大聖人御書
ネット御書
(呵責謗法滅罪抄)
<1.前 P1127 2.次>

儀式ただ事ならず宝浄世界の多宝如来大地より七宝の塔に乗じて涌現せさせ給ふ、三千大千世界の外に四百万億那由佗の国土を浄め高さ五百由旬の宝樹を尽一箭道に殖え並べて宝樹一本の下に五由旬の師子の座を敷き並べ十方分身の仏尽く来り坐し給ふ、又釈迦如来は垢衣を脱で宝塔を開き多宝如来に並び給ふ、譬えば青天に日月の並べるが如し帝釈と頂生王との善法堂に在すが如し、此の界の文殊等他方の観音等十方の虚空に雲集せる事星の虚空に充満するが如し、此の時此の土には華厳経の七処八会十方世界の台上の盧舎那仏の弟子法慧功徳林金剛幢金剛蔵等の十方刹土塵点数の大菩薩雲集せり、方等の大宝坊雲集の仏菩薩般若経の千仏須菩提帝釈等大日経の八葉九尊の四仏四菩薩金剛頂経の三十七尊等涅槃経の倶尸那城へ集会せさせ給いし十方法界の仏菩薩をば文殊弥勒等互に見知りて御物語り是ありしかば此等の大菩薩は出仕に物狎れたりと見え候、今此の四菩薩出でさせ給うて後釈迦如来には九代の本師三世の仏の御母にておはする文殊師利菩薩も一生補処とののしらせ給うふ弥勒等も此の菩薩に値いぬれば物とも見えさせ給はず、譬えば山かつが月卿に交り金ヒが師子の座に列るが如し、此の人人を召して妙法蓮華経の五字を付属せさせ給いき、付属も只ならず十神力を現じ給ふ、釈迦は広長舌を色界の頂に付け給へば諸仏も亦復是くの如く四百万億那由佗の国土の虚空に諸仏の御舌赤虹を百千万億並べたるが如く充満せしかばおびただしかりし事なり、是くの如く不思議の十神力を現じて結要付属と申して法華経の肝心を抜き出して四菩薩に譲り、我が滅後に十方の衆生に与へよと慇懃に付属して其の後又一つの神力を現じて文殊等の自界他方の菩薩二乗天人竜神等には一経乃至一代聖教をば付属せられしなり、本より影の身に随つて候様につかせ給ひたりし迦葉舎利弗等にも此の五字を譲り給はず此れはさてをきぬ、文殊弥勒等には争か惜み給うべき器量なくとも嫌い給うべからず、方方不審なるを或は他方の菩薩は此の土に縁少しと嫌ひ、或は此の土の菩薩なれども娑婆世界に結縁の日浅し、或は我が弟子なれども初発心の弟子にあらずと嫌はれさせ給う程に、


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