日蓮大聖人御書
ネット御書
(辧殿御消息)
<1.前 P1226 2.次>

十住毘婆沙等の要文を大帖にて候と真言の表のせうそくの裏にさど房のかきて候とそうじてせせとかきつけて候もののかろきとりてたび候へ、紙なくして一紙に多く要事を申すなり。
=  七月二十一日                      日蓮花押
%  辧      殿
*弥源太殿御返事

 抑日蓮は日本第一の僻人なり、其の故は皆人の父母よりもたかく主君よりも大事におもはれ候ところの阿弥陀仏大日如来薬師等を御信用ある故に、三災七難先代にこえ天変地夭等昔にもすぎたりと申す故に結句は今生には身をほろぼし国をそこない後生には大阿鼻地獄に堕ち給うべしと、一日片時もたゆむ事なくよばわりし故にかかる大難にあへり、譬えば夏の虫の火にとびくばりねずみがねこのまへに出でたるが如し、是あに我が身を知つて用心せざる畜生の如くにあらずや、身命を失ふ事併ら心より出ずれば僻人なり、但し石は玉をふくむ故にくだかれ鹿は皮肉の故に殺され魚はあぢはひある故にとらるすいは羽ある故にやぶらる女人はみめかたちよければ必ずねたまる此の意なるべきか、日蓮は法華経の行者なる故に三種の強敵あつて種種の大難にあへり然るにかかる者の弟子檀那とならせ給う事不思議なり定めて子細候らん相構えて能能御信心候て霊山浄土へまいり給へ。
 又御祈祷のために御太刀同く刀あはせて二つ送り給はて候、此の太刀はしかるべきかぢ作り候かと覚へ候、あまくに或は鬼きり或はやつるぎ異朝にはかむしやうばくや(千将莫耶)が剣に争でかことなるべきや此れを法華経にまいらせ給う、


<1.前 P1226 2.次>