日蓮大聖人御書
ネット御書
(妙一尼御前御消息)
<1.前 P1254 2.次>

彼の雪山童子の半偈のために身をすて薬王菩薩の臂をやき給いしは彼は聖人なり火に水を入るるがごとし、此れは凡夫なり紙を火に入るるがごとし此れをもつて案ずるに聖霊は此の功徳あり、大月輪の中か大日輪の中か天鏡をもつて妻子の身を浮べて十二時に御らんあるらん、設い妻子は凡夫なれば此れをみずきかず、譬へば耳しゐたる者の雷の声をきかず目つぶれたる者の日輪を見ざるがごとし、御疑あるべからず定めて御まほりとならせ給うらん其の上さこそ御わたりあるらめ。
 力あらばとひまひらせんとをもうところに衣を一つ給ぶでう存外の次第なり、法華経はいみじき御経にてをはすればもし今生にいきある身ともなり候いなば尼ごぜんの生きてをわしませ、もしは草のかげにても御らんあれ、をさなききんだち等をばかへり見たてまつるべし。
 さどの国と申しこれと申し下人一人つけられて候はいつの世にかわすれ候べき、此の恩はかへりてつかへたてまつり候べし、南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経恐恐謹言。
= 五月 日                 日蓮花押
%  妙一尼御前


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