日蓮大聖人御書
ネット御書
(祈祷抄)
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父母主君師匠なんどの制止を加うれどもなす事あり。
 さればはんよき(范於期)と云いし賢人は我頚を切つてだにこそけいかと申せし人には与へき、季札と申せし人は約束の剣を徐の君が塚の上に懸けたりき、而るに霊山会上にして即身成仏せし竜女は小乗経には五障の雲厚く三従のきづな強しと嫌はれ、四十余年の諸大乗経には或は歴劫修行にたへずと捨てられ、或は初発心時便成正覚の言も有名無実なりしかば女人成仏もゆるさざりしに設い人間天上の女人なりとも成仏の道には望なかりしに竜畜下賎の身たるに女人とだに生れ年さへいまだたけずわづかに八歳なりき、かたがた思ひもよらざりしに文殊の教化によりて海中にして法師提婆の中間わづかに宝塔品を説かれし時刻に仏になりたりし事はありがたき事なり、一代超過の法華経の御力にあらずばいかでかかくは候べき、されば妙楽は「行浅功深以顕経力」とこそ書かせ給へ、竜女は我が仏になれる経なれば仏の御諌なくともいかでか法華経の行者を捨てさせ給うべき、されば自讃歎仏の偈には「我大乗の教を闡いて苦の衆生を度脱せん」等とこそすすませさせ給いしか、竜女の誓は其の所従の「非口所宣非心所測」の一切の竜畜の誓なり娑竭羅竜王は竜畜の身なれども子を念う志深かりしかば大海第一の宝如意宝珠をもむすめにとらせて即身成仏の御布施にせさせつれ此の珠は直三千大千世界にかふる珠なり。
 提婆達多は師子頬王には孫釈迦如来には伯父たりし斛飯王の御子阿難尊者の舎兄なり、善聞長者のむすめの腹なり、転輪聖王の御一門南閻浮提には賎しからざる人なり、在家にましましし時は夫妻となるべきやすたら(耶輙多羅)女を悉達太子に押し取られ宿世の敵と思いしに、出家の後に人天大会の集まりたりし時仏に汝は癡人唾を食へる者とのられし上名聞利養深かりし人なれば仏の人にもてなされしをそねみて我が身には五法を行じて仏よりも尊げになし鉄をのして千輻輪につけ螢火を集めて白毫となし六万宝蔵八万宝蔵を胸に浮べ、


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