日蓮大聖人御書
ネット御書
(瑞相御書)
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 疑つて云く証文如何、答えて云く而かも此の経は如来の現在すら猶怨嫉多し況や滅度の後をや等云云、去る正嘉文永の大地震大天変は天神七代地神五代はさてをきぬ、人王九十代二千余年が間日本国にいまだなき天変地夭なり、人の悦び多多なれば天に吉瑞をあらはし地に帝釈の動あり、人の悪心盛なれば天に凶変地に凶夭出来す、瞋恚の大小に随いて天変の大小あり地夭も又かくのごとし、今日本国上一人より下万民にいたるまで大悪心の衆生充満せり、此の悪心の根本は日蓮によりて起れるところなり、守護国界経と申す経あり法華経以後の経なり阿闍世王仏にまいりて云く我国に大早魃大風大水飢饉疫病年年に起る上他国より我が国をせむ、而るに仏の出現し給える国なりいかんと問いまいらせ候しかば仏答えて云く善き哉善き哉大王能く此の問をなせり、汝には多くの逆罪あり其の中に父を殺し提婆を師として我を害せしむ、この二罪大なる故かかる大難来ることかくのごとく無量なり、其の中に我が滅後に末法に入つて提婆がやうなる僧国中に充満せば正法の僧一人あるべし、彼の悪僧等正法の人を流罪死罪に行いて王の后乃至万民の女を犯して謗法者の種子の国に充満せば国中に種種の大難をこり後には他国にせめらるべしととかれて候、今の世の念仏者かくのごとく候上真言師等が大慢提婆達多に百千万億倍すぎて候、真言宗の不思議あらあら申すべし、胎蔵界の八葉の九尊を画にかきて其の上にのぼりて諸仏の御面をふみて潅頂と申す事を行うなり、父母の面をふみ天子の頂をふむがごとくなる者国中に充満して上下の師となれり、いかでか国ほろびざるべき。
 此の事余が一大事の法門なり又又申すべし、さきにすこしかきて候、いたう人におほせあるべからず、びんごとの心ざし一度二度ならねばいかにとも。


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