日蓮大聖人御書
ネット御書
(立正安国論)
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是の業因を以て地獄畜生餓鬼に堕して具に中の苦を受く上殺とは父母乃至阿羅漢辟支仏畢定の菩薩なり阿鼻大地獄の中に堕す、善男子若し能く一闡提を殺すこと有らん者は則ち此の三種の殺の中に堕せず、善男子彼の諸の婆羅門等は一切皆是一闡提なり」[已上]。
 仁王経に云く「仏波斯匿王に告げたまわく是の故に諸の国王に付属して比丘比丘尼に付属せず何を以ての故に王のごとき威力無ければなり」[已上]。
 涅槃経に云く「今無上の正法を以て諸王大臣宰相及び四部の衆に付属す、正法を毀る者をば大臣四部の衆当に苦治すべし」と。
 又云く「仏の言く、迦葉能く正法を護持する因縁を以ての故に是の金剛身を成就することを得たり善男子正法を護持せん者は五戒を受けず威儀を修せず応に刀剣弓箭鉾槊を持すべし」と、又云く「若し五戒を受持せん者有らば名けて大乗の人と為す事を得ず、五戒を受けざれども正法を護るを為て乃ち大乗と名く、正法を護る者は当に刀剣器仗を執持すべし刀杖を持すと雖も我是等を説きて名けて持戒と曰わん」と。
 又云く「善男子過去の世に此の拘尸那城に於て仏の世に出でたまうこと有りき歓喜増益如来と号したてまつる、仏涅槃の後正法世に住すること無量億歳なり余の四十年仏法の末、爾の時に一の持戒の比丘有り名を覚徳と曰う、爾の時に多く破戒の比丘有り是の説を作すを聞きて皆悪心を生じ刀杖を執持し是の法師を逼む、是の時の国王名けて有徳と曰う是の事を聞き已つて護法の為の故に即便ち説法者の所に往至して是の破戒の諸の悪比丘と極めて共に戦闘す、爾の時に説法者厄害を免ることを得たり王爾の時に於て身に刀剣鉾槊の瘡を被り体に完き処は芥子の如き許りも無し、爾の時に覚徳尋いで王を讃めて言く、善きかな善きかな王今真に是れ正法を護る者なり当来の世に此の身当に無量の法器と為るべし、王是の時に於て法を聞くことを得已つて心大に歓喜し尋い


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