日蓮大聖人御書
ネット御書
(釈迦一代五時継図)
<1.前 P0640 2.次>

又云く「諸仏世に出る唯此の一事のみ実なり余の二は則ち真に非ず」、普賢経の記に云く「故に正説に云く唯此の一事のみ実にして余の二は則ち真に非ずと斯れに多義有り、一には非頓非漸の妙法を指して一事実と為し而頓而漸を余二の権と為す、二には三教の仮名を呼びて非真と為し一円の実理を指して一実と為す、三には四味を以て非真と為し醍醐を以て一実と為す」と、方便品に云く「終に小乗を以て衆生を済度せず」云云、又云く「若小乗を以て化すること乃至一人に於てもせば我則ち慳貧に堕せん此の事不可と為す」又云く「正直に方便を捨てて但だ無上道を説く」と、玄の九に云く「廃三顕一とは此れ正しく教を廃す其の情を破すと雖も若し教を廃せざれば樹想還つて生ず教を執して惑を生ず是の故に教を廃す正直に方便を捨てて但だ無上道を説く十方仏土の中唯だ一乗の法のみ有り二も無く亦三も無し」云云、玄義の一に云く「華落は権を廃するを譬え蓮成は実を立するを譬う」文に云く「正直に方便を捨てて但だ無上道を説く」云云、伝教大師の顕戒論に云く「白牛を賜う朝には三車を用いず家業を得る夕べには何ぞ除糞を用いん」故に経に云く「正直に方便を捨てて但だ無上道を説く」と、方便品に云く「我が昔の所願の如く今已に満足す」云云。
 玄義の十に云く「即ち方便の一乗を廃して唯だ円実の一乗なり故に云く我本と誓願するが如き今己に満足す」方便品に云く「当来世の悪人仏一乗を説き給うを聞いて迷惑して信受せず法を破して悪道に堕せん」と云云、又云く「法を聞き歓喜し讃めて乃至一言を発す則ち為れ己に一切三世の仏を供養するなり」譬喩品に云く「今此の三界は皆是れ我が有なり其の中の衆生は悉く是れ我が子なり而も今此の処は諸の患難多し唯我一人のみ能く救護を為す」云云、文句の六に云く「旧は西方の無量寿仏を以て、以て長者に合す今之を用いず西方の仏別に縁異なり仏別なり故に隠顕の義成ぜず縁異なるが故に子父の義成ぜず又此の経の首末全く此の旨無し閉眼穿鑿せよ」、疏記の六に云く「弥陀釈迦二仏既に殊なり況や宿昔の縁別に化導同じからざるをや結縁は生の如く成熟は養の如し


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