日蓮大聖人御書
ネット御書
(本尊問答抄)
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慈覚大師の金剛頂経の疏蘇悉地経の疏智証大師の大日経の旨帰等に云く「大日経第一法華経第二」等云云、問う汝が意如何、答う釈迦如来多宝仏総じて十方の諸仏の御評定に云く已今当の一切経の中に法華最為第一なり云云、問う今日本国中の天台真言等の諸僧並びに王臣万民疑つて云く日蓮法師めは弘法慈覚智証大師等に勝るべきか如何、答う日蓮反詰して云く弘法慈覚智証大師等は釈迦多宝十方の諸仏に勝るべきか是一、今日本の国王より民までも教主釈尊の御子なり釈尊の最後の御遺言に云く「法に依つて人に依らざれ」等云云、法華最第一と申すは法に依るなり、然るに三大師等に勝るべしやとの給ふ諸僧王臣万民乃至所従牛馬等にいたるまで不孝の子にあらずや是二、問う弘法大師は法華経を見給はずや、答う弘法大師も一切経を読み給へり、其の中に法華経華厳経大日経の浅深勝劣を読み給うに法華経を読給う様に云く文殊師利此の法華経は諸仏如来秘密の蔵なり諸経の中に於て最も其の下に在り、又読み給う様に云く薬王今汝に告ぐ我が所説の諸経あり而も此の経の中に於て法華最第三云云、又慈覚智証大師の読み給う様に云く諸経の中に於て最も其の中に在り又最為第二等云云、釈迦如来多宝仏大日如来一切の諸仏法華経を一切経に相対して説いての給はく法華最第一、又説いて云く法華最も其の上に在り云云、所詮釈迦十方の諸仏と慈覚弘法等の三大師といづれを本とすべきや、但し事を日蓮によせて釈迦十方の諸仏には永く背きて三大師を本とすべきか如何。
 問う弘法大師は讃岐の国の人勤操僧正の弟子なり、三論法相の六宗を極む、去る延暦二十三年五月桓武天皇の勅宣を帯びて漢土に入り順宗皇帝の勅に依りて青竜寺に入りて慧果和尚に真言の大法を相承し給へり慧果和尚は大日如来よりは七代になり給う人はかはれども法門はをなじ譬えば瓶の水を猶瓶にうつすがごとし、大日如来と金剛薩ト竜猛竜智金剛智不空慧果弘法との瓶は異なれども所伝の智水は同じ真言なり此の大師彼の真言を習いて三千の波涛をわたりて日本国に付き給うに平城嵯峨淳和の三帝にさづけ奉る、


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