日蓮大聖人御書
ネット御書
(曾谷二郎入道殿御返事)
<1.前 P1067 2.次>

余残の者有りと雖も信行善導等の家を出ず可らざるなり、問うて云く三大師とは誰人ぞや、答えて日く弘法慈覚智証の三大師なり、疑つて云く此の三大師は何なる重科有るに依つて日本国の一切衆生を経文の其の人の内に入るや、答えて云く此の三大師は大小乗持戒の人面には八万の威儀を備え或は三千等之を具す顕密兼学の智者なり、然れば則ち日本国四百余年の間上一人より下万民に至るまで之を仰ぐこと日月の如く之を尊むこと世尊の如し、猶徳の高きこと須弥にも超え智慧の深きことは蒼海にも過ぎたるが如し、但恨むらくは法華経を大日真言経に相対して勝劣を判ずる時は或は戯論の法と云い或は第二第三と云い或は教主を無明の辺域と名け或は行者をば盗人と名く、彼の大荘厳仏の末の六百四万億那由佗の四衆の如き各各の業因異りと雖も師の苦岸等の四人と倶に同じく無間地獄に入りぬ、又師子音王仏の末法の無量無辺の弟子等の中にも貴賎の異有りと雖も同じく勝意が弟子と為るが故に一同に阿鼻大城に堕ちぬ、今日本国亦復是くの如し。
 去る延暦弘仁年中伝教大師六宗の弟子檀那等を呵責する語に云く「其の師の堕つる所弟子亦堕つ弟子の堕つる所檀越亦堕つ金口の明説慎まざる可けんや慎まざる可けんや」等云云、疑つて云く汝が分斉何を以て三大師を破するや、答えて云く予は敢て彼の三大師を破せざるなり、問うて云く汝が上の義は如何、答えて云く月氏より漢土本朝に渡る所の経論は五千七十余巻なり、予粗之を見るに弘法慈覚智証に於ては世間の科は且く之を置く仏法に入つては謗法第一の人人と申すなり、大乗を誹謗する者は箭を射るより早く地獄に堕すとは如来の金言なり将又謗法罪の深重は弘法慈覚等一同定め給い畢んぬ、人の語は且く之を置く釈迦多宝の二仏の金言虚妄ならずんば弘法慈覚智証に於ては定めて無間大城に入り、十方分身の諸仏の舌堕落せずんば日本国中の四十五億八万九千六百五十九人の一切衆生は彼の苦岸等の弟子檀那等の如く阿鼻地獄に堕ちて熱鉄の上に於て仰ぎ臥して九百万億歳伏臥して九百万億歳左脇に臥して九百万億歳右脇に臥して九百万億歳是くの如く


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