日蓮大聖人御書
ネット御書
(十法界明因果抄)
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此の文の意は小乗の三賢已前大乗の十信已前末代の凡夫の十悪五逆不孝父母女人等を嫌わず此等法華経の名字を聞いて或は題名を唱え一字一句四句一品一巻八巻等を受持し読誦し乃至亦上の如く行ぜん人を随喜し讃歎する人は法華経よりの外、一代の聖教を深く習い義理に達し堅く大小乗の戒を持てる大菩薩の如き者より勝れて往生成仏を遂ぐ可しと説くを信ぜずして還つて法華経は地住已上の菩薩の為或は上根上智の凡夫の為にして愚人悪人女人末代の凡夫等の為には非ずと言わん者は即ち一切衆生の成仏の種を断じて阿鼻獄に入る可しと説ける文なり、涅槃経に云く「仏の正法に於て永く護惜建立の心無し」文、此の文の意は此の大涅槃経の大法世間に滅尽せんを惜まざる者は即ち是れ誹謗の者なり、天台大師法華経の怨敵を定めて云く「聞く事を喜ばざる者を怨と為す」文、謗法は多種なり大小流布の国に生れて一向に小乗の法を学して身を治め大乗に遷らざるは是れ謗法なり、亦華厳方等般若等の諸大乗経を習える人も諸経と法華経と等同の思を作し人をして等同の義を学ばしめ法華経に遷らざるは是れ謗法なり、亦偶円機有る人の法華経を学ぶをも我が法に付けて世利を貪るが為に汝が機は法華経に当らざる由を称して此の経を捨て権経に遷らしむるは是れ大謗法なり、此くの如き等は皆地獄の業なり人間に生ずること過去の五戒は強く三悪道の業因は弱きが故に人間に生ずるなり、亦当世の人も五逆を作る者は少く十悪は盛に之を犯す亦偶後世を願う人の十悪を犯さずして善人の如くなるも自然に愚癡の失に依つて身口は善く意は悪しき師を信ず、但我のみ此の邪法を信ずるに非ず国を知行する人人民を聳て我が邪法に同ぜしめ妻子眷属所従の人を以て亦聳め従え我が行を行ぜしむ、故に正法を行ぜしむる人に於て結縁を作さず亦民所従等に於ても随喜の心を至さしめず、故に自他共に謗法の者と成りて修善止悪の如き人も自然に阿鼻地獄の業を招くこと末法に於て多分之れ有るか。
 阿難尊者は浄飯王の甥斛飯王の太子提婆達多の舎弟釈迦如来の従子なり、如来に仕え奉つて二十年覚意三昧を得て一代聖教を覚れり、


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