日蓮大聖人御書
ネット御書
(開目抄下)
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 此の過去常顕るる時諸仏皆釈尊の分身なり爾前迹門の時は諸仏釈尊に肩を並べて各修各行の仏なり、かるがゆへに諸仏を本尊とする者釈尊等を下す、今華厳の台上方等般若大日経等の諸仏は皆釈尊の眷属なり、仏三十成道の御時は大梵天王第六天等の知行の娑婆世界を奪い取り給いき、今爾前迹門にして十方を浄土とがうして此の土を穢土ととかれしを打ちかへして此の土は本土なり十方の浄土は垂迹の穢土となる、仏は久遠の仏なれば迹化他方の大菩薩も教主釈尊の御弟子なり、一切経の中に此の寿量品ましまさずば天に日月の国に大王の山河に珠の人に神のなからんがごとくしてあるべきを華厳真言等の権宗の智者とをぼしき澄観嘉祥慈恩弘法等の一往権宗の人人且は自の依経を讃歎せんために或は云く「華厳経の教主は報身法華経は応身」と或は云く「法華寿量品の仏は無明の辺域大日経の仏は明の分位」等云云、雲は月をかくし讒臣は賢人をかくす人讃すれば黄石も玉とみへ諛臣も賢人かとをぼゆ、今濁世の学者等彼等の讒義に隠されて寿量品の玉を翫ばず、又天台宗の人人もたぼらかされて金石一同のをもひをなせる人人もあり、仏久成にましまさずば所化の少かるべき事を弁うべきなり、月は影を慳ざれども水なくばうつるべからず、仏衆生を化せんとをぼせども結縁うすければ八相を現ぜず、例せば諸の声聞が初地初住にはのぼれども爾前にして自調自度なりしかば未来の八相をごするなるべし、しかれば教主釈尊始成ならば今此の世界の梵帝日月四天等は劫初より此の土を領すれども四十余年の仏弟子なり、霊山八年の法華結縁の衆今まいりの主君にをもひつかず久住の者にへだてらるるがごとし、今久遠実成あらはれぬれば東方の薬師如来の日光月光西方阿弥陀如来の観音勢至乃至十方世界の諸仏の御弟子大日金剛頂等の両部の大日如来の御弟子の諸大菩薩猶教主釈尊の御弟子なり、諸仏釈迦如来の分身たる上は諸仏の所化申すにをよばず何に況や此の土の劫初よりこのかたの日月衆星等教主釈尊の御弟子にあらずや。


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