日蓮大聖人御書
ネット御書
(報恩抄)
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智証大師の本尊の慈氏菩薩もやけぬ慈覚大師の本尊大講堂もやけぬ現身に無間地獄をかんぜり、但中堂計りのこれり、弘法大師も又跡なし弘法大師の云く東大寺の受戒せざらん者をば東寺の長者とすべからず等御いましめの状あり、しかれども寛平法王は仁和寺を建立して東寺の法師をうつして我寺には叡山の円頓戒を持ざらん者をば住せしむべからずと宣旨分明なり、されば今の東寺の法師は鑒真が弟子にもあらず弘法の弟子にもあらず戒は伝教の御弟子なり又伝教の御弟子にもあらず伝教の法華経を破失す、去る承和二年三月二十一日に死去ありしかば公家より遺体をばほうぶらせ給う、其の後誑惑の弟子等集りて御入定と云云、或はかみをそりてまいらするぞといゐ或は三鈷をかんどよりなげたりといゐ或は日輪夜中に出でたりといゐ或は現身に大日如来となりたりといひ或は伝教大師に十八道ををしへまいらせ給うといゐて、師の徳をあげて智慧にかへ我が師の邪義を扶けて王臣を誑惑するなり、又高野山に本寺伝法院といいし二の寺あり本寺は弘法のたてたる大塔大日如来なり、伝法院と申すは正覚房の立てし金剛界の大日なり、此の本末の二寺昼夜に合戦あり例せば叡山園城のごとし、誑惑のつもりて日本に二の禍の出現せるか、糞を集めて栴檀となせども焼く時は但糞の香なり大妄語を集めて仏とがうすとも但無間大城なり、尼ヲが塔は数年が間利生広大なりしかども馬鳴菩薩の礼をうけて忽にくづれぬ、鬼弁婆羅門がとばりは多年人をたぼらかせしかども阿キ縛A沙菩薩にせめられてやぶれぬ、a留外道は石となつて八百年陳那菩薩にせめられて水となりぬ、道士は漢土をたぼらかすこと数百年摩騰竺蘭にせめられて仙経もやけぬ、趙高が国をとりし王莽が位をうばいしがごとく法華経の位をとて大日経の所領とせり、法王すでに国に失せぬ人王あに安穏ならんや、日本国は慈覚智証弘法の流なり一人として謗法ならざる人はなし。
 但し事の心を案ずるに大荘厳仏の末一切明王仏の末法のごとし、威音王仏の末法には改悔ありしすら猶千劫阿鼻地獄に堕つ、


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