日蓮大聖人御書
ネット御書
(上行菩薩結要付属口伝)
<1.前 P0539 2.次>

是の諸の菩薩は皆是阿惟越致なり、即時に諸の菩薩倶に同く声を発して偈を説いて言さく、唯願くは慮したもうべからず仏の滅度の後恐怖悪世の中に於て我等当に広く説くべし諸の無智の人の悪口罵詈等し及び刀杖を加うる者有らん我等皆当に忍ぶべし、悪世の中の比丘は邪智にして心諂曲に未だ得ざるをこれ得たりと謂い我慢の心充満せん、或は阿練若に納衣にして空閑に在り自ら真の道を行ずと謂いて人間を軽賎する者有らん、利養に貪著するが故に白衣の与に法を説いて世に恭敬せらるること六通の羅漢の如くならん是の人悪心を懐き常に世俗の事を念い名を阿練若に仮りて好んで我等の過を出ださん、濁世の悪比丘は仏の方便随宜所説の法を知らずして悪口して顰蹙し数数擯出せられん」と云云。
 文句の八に云く「初めに一行は通じて邪人を明す即ち俗衆なり、次に一行は道門増上慢の者を明す、三に七行は僣聖増上慢の者を明す、故に此の三の中初めは忍ぶ可し次は前に過ぐ第三は最も甚し」と云云。
 涌出品に云く「爾の時に他方の国土の諸の来れる菩薩摩訶薩八恒河沙の数に過ぎたり、大衆の中に於て起立し合掌し礼を作して仏に白して言く、世尊若し我等に仏の滅後に於て此の娑婆世界に在つて勤加精進し是の経典を護持し読誦し書写し供養せんことを聴したまわば当に此の土に於て広く之を説きたてまつるべし、爾の時に仏諸の菩薩摩訶薩衆に告く止みね善男子汝等が此の経を護持せんことを須いじ所以は何ん我が娑婆世界に自ら六万恒河沙等の菩薩摩訶薩有り、一一の菩薩各六万恒河沙の眷属有り是の諸人等能く我が滅後に於て護持し読誦し広く此の経を説かん」と云云五巻畢。
 属累品に云く「爾の時に釈迦牟尼仏法座従り起つて大神力を現じたもう右の手を以て無量の菩薩摩訶薩の頂を摩でて是の言を作したまわく我無量百千万億阿僧祇劫に於て是の得難き阿耨多羅三藐三菩提の法を修習せり今以て汝等に付属す汝等当に一心に此の法を流布して広く増益せしむべし、是くの如く三たび諸の菩薩摩訶薩の頂を摩でて是の言を作したまわく


<1.前 P0539 2.次>