釈迦が成道した「五百塵点劫」の昔とは、今から何年前か?

’95.10.7

釈迦50年の説法中最高の経典である法華経の寿量品において、釈迦はこれまでの始成正覚の立場を打ち破り、久遠実成を初めて説き明かしました。「始成正覚」というのは、釈迦がインドに生まれて、18で出家し修行の結果30歳で始めて正覚を得たという立場です。これに対し、”いや真実はそうではなく、自分は五百塵点劫という久遠の昔に成道して以来、ずっと説法教化してきた”というのが「久遠実成」です。では五百塵点劫の昔とは何年くらい前のことなのでしょうか? 釈迦は”五百塵点劫とはどれくらいの昔を考えればよいか”を具体的に説いています。
それは、この宇宙の三千大千世界[太陽系の1013倍の世界](大銀河団)を5×1076倍したものを全部微塵にし、その微塵の数をまた5×1076倍しただけの数の大銀河団を考え、これをまた全部微塵にし、その微塵の数に800万年を掛けた昔が、五百塵点劫の昔だというのです。
とてつもなく遠い昔で、なんだかピンときません。また、生命論で説かれたものを客観的、物理的な量に正確におきかえることが可能か、またそれがどれほどの意味があるかどうかはわかりませんが、それでも、ちょっとでも自分にイメージしやすい量として知りたかったので、ちょっと計算しました。その結果は下のFに示すように、いまから約10270年 ぐらい前という結果を得ました。
10270(10の270乗と読む)という数字は1のあとにゼロが270個つく数です。ここで"約"というのは、ゼロの数が270個ぴったりではなく、微塵の大きさ等々のとりかたによっては260〜320個ぐらいになるという意味です。しかし、いずれにせよ260個を下回ることはありません。

@ 釈迦がインドに誕生したのは、今から
約3,000年前 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3千(ゼロが3個 ;3×10 年)
(10ノ3ジョウ)
A 地球に人類の祖先が誕生したのは、
約5,000,000年前 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 500万(ゼロが6個 ;5×10 年)
B 地球に原始生命が誕生したのは、
約3,000,000,000年前 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 30億(ゼロが9個 ;3×10 年)
C 地球がはじめて安定した大気と地殻をもつようになったのは、
約4,000,000,000年前 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 40億(ゼロが9個 ;4×10 年)
D 太陽ができたのは、
約5,000,000,000年前 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 50億(ゼロが9個 ;5×10年)
E 宇宙が誕生したのは、ビックバン説(;これは仮説であり別の説もある)によると、
約10,000,000,000年前 ・・・・・・・・・・・・ 100億(ゼロが10個 ;1×1010年)
F 釈迦が成道したのは、今から
約1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000年前
(ゼロが約270個 ;1×10270年)



[尚、五百塵点劫の計算のパラメータとして、億=10、那由侘=1011、阿僧祗=1051としました。又、銀河系の総質量は現在のところ不明ですが、可視総質量*1(太陽質量×2×1011)だけを参照し、三千大千世界(1小世界(=太陽系)の1013倍の世界)の総質量を2×1046gとし、これを全部鉄にかえて直径0.01mm球の微塵にすりつぶしたと仮定して計算しました。]
* 1 余談ですが銀河系の回転運動の観測から総質量は可視質量の10倍はあり、現在この見えない質量(ダークマター)の所在は、天文学の課題です。(蛇足ですが、私の現在の研究課題はこのダークマターが超重粒子として存在するとしたら、それを熱ルミネッセンスシートで検出できるかどうかを見積もることです。) *

詳細な計算の過程