宿屋左衛門光則への御状

宿屋左衛門光則への御状

 先年勘えたるの書安国論に普合せるに就て言上せしめ候い畢んぬ、抑正月十八日西戎大蒙古国より牒状到来す

と、

P0171

之を以て之を按ずるに日蓮は聖人の一分に当り候か、然りと雖も未だ御尋に予らず候の間重ねて諌状を捧ぐ、希

くば御帰依の寺僧を停止せられ宜しく法華経に帰せしむべし、若し然らずんば後悔何ぞ追わん、此の趣を以て十

一所に申せしめ候なり定めて御評議有る可く候か、偏に貴殿を仰ぎ奉る早く日蓮が本望を遂げしめ給え、十一箇

所と申すは平の左衛門尉殿に申せしむる所なり委悉申し度く候と雖も上書分明なる間省略せしめ候、御気色を以

て御披露庶幾せしむる所に候、恐恐謹言。

= 文永五年〔戊辰〕十月十一日                        日蓮花押

%   謹上 宿屋入道殿