弟子檀那中への御状

弟子檀那中への御状

 大蒙古国の簡牒到来に就いて十一通の書状を以て方方へ申せしめ候、定めて日蓮が弟子檀那流罪死罪一定なら

ん少しも之を驚くこと莫れ方方への強言申すに及ばず是併ながら而強毒之の故なり、日蓮庶幾せしむる所に候、

各各用心有る可し少しも妻子眷属を憶うこと莫れ権威を恐るること莫れ、今度生死の縛を切つて仏果を遂げしめ

給え、鎌倉殿宿屋入道平の左衛門尉弥源太建長寺寿福寺極楽寺多宝寺浄光明寺大仏殿長楽寺〔已上十一箇所〕仍

つて十一通の状を書して諌訴せしめ候い畢んぬ、定めて子細有る可し、日蓮が所に来りて書状等披見せしめ給え

、恐恐謹言。

= 文永五年〔戊辰〕十月十一日                        日蓮花押

%   日蓮弟子檀那中

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