富木殿女房尼御前御書

富木殿女房尼御前御書  /弘安二年十一月 五十八歳御作

 いよ房は学生になりて候ぞつねに法門きかせ給へ。

 はるかに見まいらせ候はねばをぼつかなく候、たうじとてもたのしき事は候はねどもむかしはことにわびしく

候いし時よりやしなはれまいらせて候へばことにをんをもくをもいまいらせ候、それについてはいのちはつるか

めのごとくさいはいは月のまさりしをのみつがごとくとこそ法華経にはいのりまいらせ候へ、さてはえち後房し

もつけ房と申す僧をいよどのにつけて候ぞ、しばらくふびんにあたらせ給へととき殿には申させ給へ。

=  十一月二十五日                日蓮花押

%  富城殿女房尼御前

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