兵衛志殿御返事

兵衛志殿御返事

我が法華経も本迹和合して利益を無量にあらはす、各各二人又かくのごとし二人同心して大御所守殿法華堂八

幡等つくりまいらせ給うならば此れは法華経の御利生とをもわせ給わざるべき、二人一同の儀は車の二つのわの

如し鳥の二つの羽のごとし、設い妻子等の中のたがわせ給うとも二人の御中不和なるべからず、恐れ候へども日

蓮をたいとしとをもひあわせ給へ、もし中不和にならせ給うならば二人の冥加いかんがあるべかるらめと思しめ

せ、あなかしこあなかしこ、各各みわきかたきもたせ給いたる人人なり、内より論出来れば鷸蚌の相扼も漁夫の

をそれ有るべし、南無妙法蓮華経と御唱えつつしむべしつつしむべし、恐恐。

= 十一月十二日 日蓮在御判

% ひやうえの志殿御返事

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