窪尼御前御返事

窪尼御前御返事  /弘安元年六月 五十七歳御作

 すずの御供養送り給い了んぬ、大風の草をなびかしいかづちの人ををどろかすやうに候、よの中にいかにいま

まで御しんようの候いけるふしぎ(不思議)さよ、ねふかければはかれずいづみに玉あれば水たえずと申すやう

に御信心のねのふかくいさぎよき玉の心のうちにわたらせ給うか、たうとしたうとし、恐恐。

= 六月二十七日 日  蓮 花 押

%  くぼの尼御前御返事