春の祝御書 |
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春の祝御書
春のいわいわすでに事ふり候いぬ、さては故なんでうどの(南条殿)はひさしき事には候はざりしかどもよろ ず事にふれてなつかしき心ありしかばをろかならずをもひ しによわひ盛んなりしにはかなかりし事わかれかな しかりしかばわざとかまくらよりうちくだかり御はかをば見候いぬ、それよりのちはするがのびんにはとをもひ しにこのたびくだしには人にしのびてこれへきたりしかばにしやまの入道殿にもしられ候はざりし上は力をよば ずとをりて候いしが心にかかりて候その心をとげんがために此の御房は正月の内につかわして御はかにて自我偈 一巻よませんとをもひてまいらせ候、御とのの御かたみもなしなんとなげきて候へばとのをとどめをかれける事 よろこび入つて候、故殿は木のもとくさむらのかげかよう人もなし、仏法をも聴聞せんずいかにつれづれなるら ん、をもひやり候へばなんだもとどまらず、とのの法華経の行者うちぐして御はかにむかわせ給うには、いかに うれしかるらんいかにうれしかるらん。 P1511 |