南条殿御返事

南条殿御返事

 ・牙二石並びに×鵄一だ故五郎殿百ヶ日等云云、法華経の第七に云く、「川流江河諸水の中に海これ第一なり

此の法華経も亦復是くの如し」等云云、此の経は法華経をば大海に譬へられて候、大海と申すはふかき事八万四

千由旬広きこと又かくのごとし、此の大海の中にはなになにのすみ有りと申し候へば阿修羅王凡夫にてをはせし

時不妄語戒を持ちてまなこをぬかれかわをはがれししむらをやぶられ血をすはれ骨かれ子を殺されめをうばわれ

なんどせしかども無量劫が間一度もそら事なくして其の功に依りて仏となり給いて候が無一不成仏と申して南無

妙法蓮華経を只一度申せる人一人として仏にならざるはなしととかせ給いて候、釈迦一仏の仰せなりとも疑うべ

きにあらざるに十方の仏の御前にてなにのゆへにかそら事をばせさせ給うべき、其の上釈迦仏と十方の仏と同時

に舌を大梵天に。

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