日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

行敏訴状御会通

<前 P0182 次>


妙楽大師の指す所の第三最甚の悪所なり、東春に云く即ち是れ出家処に一切の悪人を摂す云云、又云く両行は公処に向う等云云、又云く兵杖等云云、涅槃経に云く天台云く章安云く妙楽云く法華経守護の為の弓箭兵杖は仏法の定れる法なり例せば国王守護の為に刀杖を集むるが如し、但し良観上人等弘通する所の法日蓮が難脱れ難きの間既に露顕せしむ可きか、故に彼の邪義を隠さんが為に諸国の守護地頭雑人等を相語らいて言く日蓮並びに弟子等は阿弥陀仏を火に入れ水に流す汝等が大怨敵なりと云云、頚を切れ所領を追い出せ等と勧進するが故に日蓮の身に疵を被り弟子等を殺害に及ぶこと数百人なり、此れ偏に良観念阿道阿等の上人の大妄語より出たり心有らん人人は驚く可し怖る可し云云、毘瑠璃王は七万七千の諸の得道の人を殺す、月氏国の大族王は卒都婆を滅毀し僧伽藍を廃すること凡そ一千六百余処乃至大地震動して無間地獄に堕ちにき、毘盧釈迦王は釈種九千九百九十万人を生け取りて並べ従えて殺戮す積屍莽の如く流血池を成す、弗沙弥多羅王は四兵を興して五天を回らし僧侶を殺し寺塔を焼く、説賞迦王は仏法を毀壊す、訖利多王は僧徒を斥逐し仏法を毀壊す、欽明敏達用明の三王の詔に曰く炳然として宜く仏法を断ずべし云云、二臣自ら寺に詣で堂塔を斫倒し仏像を毀破し火を縦つて之を焼き所焼の仏像を取つて難波の堀江に棄て三尼を喚び出して其の法服を奪い並びに笞を加う云云、大唐の武宗は四千六百余処を滅失して僧尼還俗する者計うるに二十六万五百人なり、去る永保年中には山僧園城寺を焼き払う云云、御願は十五所堂院は九十所塔婆は四基鐘楼は六宇経蔵は二十所神社は十三所僧坊は八百余宇舎宅は三千余等云云、去る治承四年十二月二十二日太政入道浄海東大興福の両寺を焼失して僧尼等を殺す、此等は仏記に云く此等の悪人は仏法の怨敵には非ず三明六通の羅漢の如き僧侶等が我が正法を滅失せん、所謂守護経に云く涅槃経に云く。

                            日蓮花押


<前 P0182 次>


満月城岡山ポケット版御書