日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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一代聖教大意

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*一代聖教大意

  /正嘉二年二月 三十七歳御作

 四教は一には三蔵教二には通教三には別教四には円教なり。

 始に三蔵とは阿含経の意なり此の経の意は六道より外を明さず但し六道[地餓畜修人天]の内の因果の道理を明す、但し正報は十界を明すなり地餓畜修人天声聞縁覚菩薩仏なり依報が六にて有れば六界と申すなり、此の教の意は六道より外を明さざれば三界より外に浄土と申す生処ありと言わず又三世に仏は次第次第に出世すとは云へども横に十方に並べて仏有りとも云わず、三蔵とは一には経蔵[亦云定蔵]二には律蔵[亦云戒蔵]三には論蔵[亦云慧蔵]なり但し経律論の定戒慧戒定慧慧定戒と云う事あるなり、戒蔵とは五戒八戒十善戒二百五十戒五百戒なり定蔵とは味禅[定名]浄禅無漏禅なり慧蔵とは苦空無常無我の智慧なり、戒定慧の勝劣と云うは但上の戒計りを持つ者は三界の内の欲界の人天に生を受くる凡夫なり、但し上の定計りを修する人は戒を持たざれども定の力に依つて上の戒を具するなり、此の定の内に味禅浄禅は三界の内色無色界へ生ず無漏禅は声聞縁覚と成つて見思を断じ尽し灰身滅智するなり、慧は又苦空無常無我と我が色心を観ずれば上の戒定を自然に具足して声聞縁覚とも成るなり、故に戒より定は勝れ定より慧は勝れたり、而れども此の三蔵教の意は戒が本体にてあるなり、されば阿含経を総結する遺教経には戒を説けるなり、此の教の意は依報には六界正報には十界を明せども而も依報に随つて六界を明す経と名くるなり、又正報に十界を明せども縁覚菩薩仏も声聞の悟に過ぎざれば但声聞教とも申す、されば仏も菩薩も縁覚も灰身滅智する教なり、声聞に付いて七賢七聖の位あり、六道は凡夫なり。


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