日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

顕立正意抄

<前 P0537 次>


名をば光明如来と曰わん」等云云、又第四の巻に云く「又如来滅度の後に若し人有つて妙法華経の乃至一偈一句を聞いて一念も随喜せん者には我亦阿耨多羅三藐三菩提の記を与え授く」等云云、此等の経文は仏未来世の事を記し給う、上に挙ぐる所の苦得外道等の三事符合せずんば誰か仏語を信ぜん設い多宝仏証明を加え分身の諸仏長舌を梵天に付くとも信用し難きか、今亦以て是くの如し設い日蓮富楼那の弁を得て目連の通を現ずとも勘うる所当らずんば誰か之を信ぜん、去ぬる文永五年に蒙古国の牒状渡来する所をば朝に賢人有らば之を怪む可し、設い其れを信ぜずとも去る文永八年九月十二日御勘気を蒙りしの時吐く所の強言次の年二月十一日に符合せしむ、情有らん者は之を信ず可し何に況や今年既に彼の国災兵の上二箇国を奪い取る設い木石為りと雖も設い禽獣為りと雖も感ず可く驚く可きに偏えに只事に非ず天魔の国に入つて酔えるが如く狂えるが如く歎く可し哀む可し恐る可し厭う可し、又立正安国論に云く「若し執心飜えらずして亦曲意猶存せば早く有為の郷を辞して必ず無間の獄に堕せん」等云云、今符合するを以て未来を案ずるに日本国の上下万人阿鼻大城に堕ちんこと大地を的と為すが如し、此等は且らく之を置く日蓮が弟子等又此の大難脱れ難きか彼の不軽軽毀の衆は現身に信伏随従の四字を加れども猶先謗の強きに依つて先ず阿鼻大城に堕して千劫を経歴して大苦悩を受く、今日蓮が弟子等も亦是くの如し或は信じ或は伏し或は随い或は従う但だ名のみ之を仮りて心中に染まざる信心薄き者は設い千劫をば経ずとも或は一無間或は二無間乃至十百無間疑無からん者か是を免れんと欲せば各薬王楽法の如く臂を焼き皮を剥ぎ雪山国王等の如く身を投げ心を仕えよ、若し爾らずんば五体を地に投げ・身に汗を流せ、若し爾らずんば珍宝を以て仏前に積め若し爾らずんば奴婢と為つて持者に奉えよ若し爾らずんば等云云、四悉檀を以て時に適うのみ、我弟子等の中にも信心薄淡き者は臨終の時阿鼻獄の相を現ず可し其の時我を恨む可からず等云云。


<前 P0537 次>


満月城岡山ポケット版御書