日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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種種御振舞御書

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金三十両むまやうやうの御ひきで物ありときこふ、鎌倉中の上下万人手をたたき口をすくめてわらうやうは日蓮ひが法門申してすでに頚をきられんとせしがとかうしてゆりたらばさではなくして念仏禅をそしるのみならず、真言の密教なんどをもそしるゆへにかかる法のしるしめでたしとののしりしかば、日蓮が弟子等けうさめてこれは御あら義と申せし程に日蓮が申すやうはしばしまて弘法大師の悪義まことにて国の御いのりとなるべくば隠岐法皇こそいくさにかち給はめ、をむろ最愛の児せいたか(勢多迦)も頚をきられざるらん、弘法の法華経を華厳経にをとれりとかける状は十住心論と申す文にあり、寿量品の釈迦仏をば凡夫なりとしるされたる文は秘蔵宝鑰に候、天台大師をぬす人とかける状は二教論にあり、一乗法華経をとける仏をば真言師のはきものとりにも及ばずとかける状は正覚房が舎利講の式にあり、かかる僻事を申す人の弟子阿弥陀堂の法印が日蓮にかつならば竜王は法華経のかたきなり、梵釈四王にせめられなん子細ぞあらんずらんと申せば、弟子どものいはくいかなる子細のあるべきぞとをこつきし程に、日蓮云く善無畏も不空も雨のいのりに雨はふりたりしかども大風吹きてありけるとみゆ、弘法は三七日すぎて雨をふらしたり、此等は雨ふらさぬがごとし、三七二十一日にふらぬ雨やあるべき設いふりたりともなんの不思議かあるべき、天台のごとく千観なんどのごとく一座なんどこそたうとけれ、此れは一定やうあるべしといゐもあはせず大風吹来る、大小の舎宅堂塔古木御所等を或は天に吹きのぼせ或は地に吹き入れ、そらには大なる光り物とび地には棟梁みだれたり、人人をもふきころし牛馬ををくたふれぬ、悪風なれども秋は時なればなをゆるすかたもあり此れは夏四月なり、其の上日本国にはふかず但関東八箇国なり八箇国にも武蔵相模の両国なり両国の中には相州につよくふく、相州にもかまくらかまくらにも御所若宮建長寺極楽寺等につよくふけり、ただ事ともみへずひとへにこのいのりのゆへにやとおぼへてわらひ口すくめせし人人もけうさめてありし上我が弟子どももあら不思議やと舌をふるう。


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満月城岡山ポケット版御書