日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

曾谷二郎入道殿御返事 /弘安四年七月 六十歳御作

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同生同名も国中の人を離れ天照太神八幡大菩薩も争か此の国を守護せん。

去る治承等の八十一二三四五代の五人の大王と頼朝義時と此の国を御諍い有つて天子と民との合戦なり、猶鷹駿と金鳥との勝負の如くなれば天子頼朝等に勝たんこと必定なり決定なり、然りと雖も五人の大王は負け畢んぬ兎師子王に勝ちしなり、負くるのみに非ず剰え或は蒼海に沈み或は島島に放たれ、誹謗法華未だ年歳を積まざる時猶以て是くの如し、今度は彼に似る可らず彼は但国中の災い許りなり、其の故は粗之を見るに蒙古の牒状已前に去る正嘉文永等の大地震大彗星の告げに依つて再三之を奏すと雖も国主敢て信用無し、然るに日蓮が勘文粗仏意に叶うかの故に此の合戦既に興盛なり、此の国の人人今生には一同に修羅道に堕し後生には皆阿鼻大城に入らん事疑い無き者なり。

爰に貴辺と日蓮とは師檀の一分なり然りと雖も有漏の依身は国主に随うが故に此の難に値わんと欲するか感涙押え難し、何れの代にか対面を遂げんや唯一心に霊山浄土を期せらる可きか、設い身は此の難に値うとも心は仏心に同じ今生は修羅道に交わるとも後生は必ず仏国に居せん、恐恐謹言。

= 弘安四年閏七月一日 日蓮花押

% 曾谷二郎入道殿御返事


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