<前
P1097 次>銅の御器二給び畢んぬ、釈迦仏三十の御年仏になり始てをはし候時牧牛女と申せし女人乳のかいをにて仏にまいらせんとし候し程にいれてまいらすべき器なし、毘沙門天王等の四天王四鉢を仏にまいらせたりし、其の鉢をうちかさねてかいをまいらせしに仏にはならせ給う、其の鉢後には人ももらざりしかども常に飯のみちしなり後に馬鳴菩薩と申せし菩薩伝へて金銭三貫にほうじたりしなり、今御器二を千里にをくり釈迦仏にまいらせ給へば、かの福のごとくなるべし、委しくは申さず候。
= 建治三年丁丑十一月七日 日蓮花押
% 兵衛志殿女房御返事
+ 於身延
みそをけ一給び畢んぬ、はらのけは左衛門どのの御薬になをりて候、又このみそをなめていよいよここちなをり候ぬ、あはれあはれ今年御つつがなき事をこそ法華経に申し上げまいらせ候へ、恐恐謹言。
= 六月廿六日 日蓮花押
% 兵衛志殿御返事
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