日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

呵責謗法滅罪抄

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始め・りし大重罪消えかねて千劫大阿鼻地獄に入つて二百億劫三宝に捨てられ奉りたりき。

 五逆と謗法とを病に対すれば五逆は霍乱の如くして急に事を切る、謗法は白癩病の如し始は緩に後漸漸に大事なり、謗法の者は多くは無間地獄に生じ少しは六道に生を受く、人間に生ずる時は貧窮下賎等白癩病等と見えたり、日蓮は法華経の明鏡をもつて自身に引き向かへたるに都てくもりなし、過去の謗法の我が身にある事疑いなし此の罪を今生に消さずば未来争か地獄の苦をば免るべき、過去遠遠の重罪をば何にしてか皆集めて今生に消滅して未来の大苦を免れんと勘えしに当世時に当つて謗法の人人国国に充満せり、其の上国主既に第一の誹謗の人たり、此の時此の重罪を消さずば何の時をか期すべき、日蓮が小身を日本国に打ち覆うてののしらば無量無辺の邪法の四衆等無量無辺の口を以て一時に・るべし、爾の時に国主は謗法の僧等が方人として日蓮を怨み或は頚を刎ね或は流罪に行ふべし、度度かかる事、出来せば無量劫の重罪一生の内に消なんと謀てたる大術少も違う事なくかかる身となれば所願も満足なるべし。

 然れども凡夫なれば動すれば悔ゆる心有りぬべし、日蓮だにも是くの如く侍るに前後も弁へざる女人なんどの各仏法を見ほどかせ給わぬが何程か日蓮に付いてくやしとおぼすらんと心苦しかりしに、案に相違して日蓮よりも強盛の御志どもありと聞へ候は偏に只事にあらず、教主釈尊の各の御心に入り替らせ給うかと思へば感涙押え難し、妙楽大師の釈に云く[記七]「故に知んぬ末代一時も聞くことを得聞き已つて信を生ずる事宿種なるべし」等云云、又云く[弘二]「運像末に在つて此の真文を矚る宿に妙因を殖うるに非ざれば実に値い難しと為す」等云云。

 妙法蓮華経の五字をば四十余年此れを秘し給ふのみにあらず迹門十四品に猶是を抑へさせ給ひ寿量品にして本果本因の蓮華の二字を説き顕し給ふ、此の五字をば仏文殊普賢弥勒薬王等にも付属せさせ給はず、地涌の上行菩薩無辺行菩薩浄行菩薩安立行菩薩等を寂光の大地より召し出して此れを付属し給ふ、


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