日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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四条金吾殿女房御返事 /文永十二年正月

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所詮一切の人にそしられて候よりも女人の御ためにはいとをしとをもはしき男にふびんとをもはれたらんにはすぎじ、一切の人はにくまばにくめ、釈迦仏多宝仏十方の諸仏乃至梵王帝釈日月等にだにもふびんとをもはれまいらせなばなにかくるしかるべき、法華経にだにもほめられたてまつりなばなにかくるしかるべき。

 今三十三の御やくとて御布施送りたびて候へば釈迦仏法華経日天の御まへに申し上て候、又人の身には左右のかたあり、このかたに二つの神をはします一をば同名二をば同生と申す、此の二つの神は梵天帝釈日月の人をまほらせんがために母の腹の内に入りしよりこのかた一生をわるまで影のごとく眼のごとくつき随いて候が、人の悪をつくり善をなしなむどし候をばつゆちりばかりものこさず天にうたへまいらせ候なるぞ。

 華厳経の文にて候を止観の第八に天台大師よませ給へり、但し信心のよはきものをば法華経を持つ女人なれどもすつるとみえて候、例せば大将軍よはければしたがうものもかひなし、弓よはければ絃ゆるし風ゆるければ波ちゐさきは自然の道理なり、而るにさえもん(左衛門)殿は俗の中日本にはかたをならぶべき者もなき法華経の信者なり、是にあひつれさせ給いぬるは日本第一の女人なり、法華経の御ためには竜女とこそ仏はをぼしめされ候らめ、女と申す文字をばかかるとよみ候、藤の松にかかり女の男にかかるも今は左衛門殿を師とせさせ給いて法華経へみちびかれさせ給い候へ。

 又三十三のやくは転じて三十三のさいはひとならせ給うべし、七難即滅七福即生とは是なり、年はわかうなり福はかさなり候べし、あなかしこあなかしこ。

=   正月二十七日                   日蓮花押

%   四条金吾殿女房御返事


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