日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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頼基陳状

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先づ不審に候事は末法に生を受けて辺土のいやしき身に候へども中国の仏法幸に此の国にわたれり是非信受す可き処に経は五千七千数多なり、然而一仏の説なれば所詮は一経にてこそ候らむに華厳真言乃至八宗浄土禅とて十宗まで分れてをはします、此れ等の宗宗も門はことなりとも所詮は一かと推する処に、弘法大師は我が朝の真言の元祖法華経は華厳経大日経に相対すれば門の異なるのみならず其の理は戯論の法無明の辺域なり、又法華宗の天台大師等は諍盗醍醐等云云、法相宗の元祖慈恩大師云く「法華経は方便深密経は真実無性有情永不成仏」云云、華厳宗の澄観云く「華厳経は本教法華経は末教或は華厳は頓頓法華は漸頓」等云云、三論宗の嘉祥大師の云く「諸大乗経の中には般若教第一」云云、浄土宗の善導和尚云く「念仏は十即十生百即百生法華経等は千中無一」云云、法然上人云く「法華経を念仏に対して捨閉閣抛或は行者は群賊」等云云、禅宗の云く「教外別伝不立文字」云云、教主釈尊は法華経をば世尊の法は久しくして後に要当に真実を説きたもうべし、多宝仏は妙法華経は皆是真実なり十方分身の諸仏は舌相梵天に至るとこそ見えて候に弘法大師は法華経をば戯論の法と書かれたり、釈尊多宝十方の諸仏は皆是真実と説かれて候、いづれをか信じ候べき、善導和尚法然上人は法華経をば千中無一捨閉閣抛釈尊多宝十方分身の諸仏は一として成仏せずと云う事無し皆仏道を成ずと云云、三仏と導和尚然上人とは水火なり雲泥なり何れをか信じ候べき何れをか捨て候べき就中彼の導然両人の仰ぐ所の雙観経の法蔵比丘の四十八願の中に第十八願に云く「設い我れ仏を得るとも唯五逆と誹謗正法とを除く」と云云、たとひ弥陀の本願実にして往生すべくとも、正法を誹謗せむ人人は弥陀仏の往生には除かれ奉るべきか又法華経の二の巻には「若し人信ぜざれば其の人命終して阿鼻獄に入らん」と云云、念仏宗に詮とする導然の両人は経文実ならば阿鼻大城をまぬかれ給ふべしや、彼の上人の地獄に堕ち給わせば末学弟子檀那等自然に悪道に堕ちん事疑いなかるべし、此等こそ不審に候へ上人は如何と問い給はれしかば。


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満月城岡山ポケット版御書