日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

教行証御書 /文永十二年三月 五十四歳御作

<前 P1278 次>


円機純熟の国に生を受けて徒に無間大城に還らんこと不便とも申す許り無し、崑崙山に入りし者の一の玉をも取らずして貧国に帰り栴檀林に入つて瞻蔔を蹈まずして瓦礫の本国に帰る者に異ならず、第三の巻に云く「飢国より来りて忽ち大王の膳に遇うが如し」第六に云く「我が此の土は安穏○我が浄土は毀れず」等云云。

 状に云く難問に云く爾前当分の得道等云云、涅槃経第三に「善男子応当修習」の文を立つ可し之を受けて弘決第三に「所謂久遠必無大者」と会して「爾前の諸経にして得道せし者は久遠の初業に依るなるべし」と云つて一分の益之無き事を治定して、其の後滅後の弘経に於ても亦復是くの如く正像の得益証果の人は在世の結縁に依るなるべし等云云、又彼が何度も爾前の得道を云はば無量義経に四十余年の経経を仏我れと未顕真実と説き給へば我等が如き名字の凡夫は仏説に依りてこそ成仏を期すべく候へ人師の言語は無用なり、涅槃経には依法不依人と説かれて大に制せられて候へばなんど立てて未顕真実と打ち捨て打ち捨て正直捨方便世尊法久後なんどの経釈をば秘して左右無く出すべからず。

 又難問に云く得道の所詮は爾前も法華経もこれ同じ、其の故は観経の往生或は其の外例の如し等云云と立つ可し、又未顕真実其の外但似仮名字等云云と、又同時の経ありと云はば法師品の已今当の説をもつて会す可きなり、玄義の三籤の三の文を出す可し、経釈能く能く料簡して秘す可し。

 一状に云く真言宗云云等、答う彼が立つる所の如き弘法大師の戯論無明の辺域何れの経文に依るやと云つて彼の依経を引かば云うべし大日如来は三世の諸仏の中には何れぞやと云つて善無畏三蔵金剛智等の偽りをば汝は知れるやと云つて其の後一行筆受の相承を立つ可し、大日経には一念三千跡を削れり漢土にして偽りしなり、就中僻見有り毘廬の頂上を蹈む証文は三世の諸仏の所説に之有りや、其の後彼云く等云云、立つ可し大慢婆羅門が高座の足等云云、


<前 P1278 次>


満月城岡山ポケット版御書