日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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千日尼御前御返事

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いかに念仏堂ありとも阿弥陀仏は法華経のかたきをばたすけ給うべからず、かえりて阿弥陀仏の御かたきなり後生悪道に堕ちてくいられ候らむ事あさまし。

 ただし入道の堂のらうにていのちをたびたびたすけられたりし事こそいかにすべしともをぼへ候はね、学乗房をもつてはかにつねづね法華経をよませ給えとかたらせ給え、それも叶うべしとはをぼえず、さても尼のいかにたよりなかるらむとなげくと申しつたへさせ給い候へ、又又申すべし。

=七月二十八日                  日蓮花押

%佐渡国府阿仏房尼御前

*千日尼御前御返事

 /弘安元年十月十九日 五十七歳御作

+与阿仏房尼

 青鳧一貫文干飯一斗種種の物給い候い了んぬ、仏に土の餅を供養せし徳勝童子は阿育大王と生れたり、仏に漿をまひらせし老女は辟支仏と生れたり、法華経は十方三世の諸仏の御師なり、十方の仏と申すは東方善徳仏東南方無憂徳仏南方栴檀徳仏西南方宝施仏西方無量明仏西北方華徳仏北方相徳仏東北方三乗行仏上方広衆徳仏下方明徳仏なり、三世の仏と申すは過去荘厳劫の千仏現在賢劫の千仏未来星宿劫の千仏乃至華厳経法華経涅槃経等の大小権実顕密の諸経に列り給へる一切の諸仏尽十方世界の微塵数の菩薩等も皆悉く法華経の妙の一字より出生し給へり、故に法華経の結経たる普賢経に云く「仏三種の身は方等より生ず」等云云、方等とは月氏の語漢土には大乗と翻ず大乗と申すは法華経の名なり、阿含経は外道の経に対すれば大乗経、華厳般若大日経等は阿含経に対すれば大乗経、法華経に対すれば小乗経なり、法華経に勝れたる経なき故に一大乗経なり、


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