日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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妙法尼御前御返事

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法華経の第七の巻に云く「我滅度の後に於て応に此の経を受持すべし、是の人仏道に於て決定して疑有ること無けん」云云、一代の聖教いづれもいづれもをろかなる事は候はず、皆我等が親父大聖教主釈尊の金言なり皆真実なり皆実語なり、其の中にをいて又小乗大乗顕教密教権大乗実大乗あいわかれて候、仏説と申すは二天三仙外道道士の経経にたいし候へば此等は妄語仏説は実語にて候、此の実語の中に妄語あり実語あり綺語もあり悪口もあり、其の中に法華経は実語の中の実語なり真実の中の真実なり、真言宗と華厳宗と三論と法相と倶舎成実と律宗と念仏宗と禅宗等は実語の中の妄語より立て出だせる宗宗なり、法華宗は此れ等の宗宗にはにるべくもなき実語なり、法華経の実語なるのみならず一代妄語の経経すら法華経の大海に入りぬれば法華経の御力にせめられて実語となり候、いわうや法華経の題目をや、白粉の力は漆を変じて雪のごとく白くなす須弥山に近づく衆色は皆金色なり、法華経の名号を持つ人は一生乃至過去遠遠劫の黒業の漆変じて白業の大善となる、いわうや無始の善根皆変じて金色となり候なり。

 しかれば故聖霊最後臨終に南無妙法蓮華経ととなへさせ給いしかば、一生乃至無始の悪業変じて仏の種となり給う、煩悩即菩提生死即涅槃即身成仏と申す法門なり、かかる人のえんの夫婦にならせ給へば又女人成仏も疑なかるべし、若し此の事虚事ならば釈迦多宝十方分身の諸仏は妄語の人大妄語の人悪人なり、一切衆生をたぼらかして地獄におとす人なるべし、提婆達多は寂光浄土の主となり教主釈尊は阿鼻大城のほのをにむせび給うべし、日月は地に落ち大地はくつがへり河は逆に流れ須弥山はくだけをつべし、日蓮が妄語にはあらず十方三世の諸仏の妄語なりいかでか其の義候べきとこそをぼへ候へ、委くは見参の時申すべく候。

=七月十四日                         日蓮花押

  妙法尼御前申させ給へ


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