日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

三三蔵祈雨事 /建治元年六月 五十四歳御作

<前 P1471 次>


むこり国だにもつよくせめ候わば今生にもひろまる事も候いなん、あまりにはげしくあたりし人人はくゆるへんもやあらんずらん。

 外道と申すは仏前八百年よりはじまりて、はじめは二天三仙にてありしがやうやくわかれて九十五種なり、其の中に多くの智者神通のものありしかども一人も生死をはなれず、又帰依せし人人も善につけ悪につけて皆三悪道に堕ち候いしを仏出世せさせ給いてありしかば、九十五種の外道十六大国の王臣諸民をかたらひて或はのり或はうち或は弟子或はだんな等無量無辺ころせしかども仏たゆむ心なし、我此の法門を諸人にをどされていゐやむほどならば一切衆生地獄に堕つべしとつよくなげかせ給いしゆへに退する心なし、この外道と申すは先仏の経経を見てよみそこないて候いしより事をこれり。

 今も又かくのごとし、日本の法門多しといへども源は八宗九宗十宗よりをこれり、十宗のなかに華厳等の宗宗はさてをきぬ、真言と天台との勝劣に弘法慈覚智証のまどひしによりて日本国の人人今生には他国にもせめられ後生にも悪道に堕つるなり、漢土のほろび又悪道に堕つる事も善無畏金剛智不空のあやまりよりはじまれり、又天台宗の人人も慈覚智証より後はかの人人の智慧にせかれて天台宗のごとくならず、さればさのみやはあるべき。

 いわうや日蓮はかれにすぐべきとわが弟子等をぼせども仏の記文にはたがはず、末法に入つて仏法をばうじ無間地獄に堕つべきものは大地微塵よりも多く、正法をへたらん人は爪上の土よりもすくなしと涅槃経にはとかれ、法華経には設い須弥山をなぐるものはありとも我が末法に法華経を経のごとくにとく者ありがたしと記しをかせ給へり、大集経金光明経仁王経守護経はちなひをん(般泥・)経最勝王経等に末法に入つて正法を行ぜん人出来せば邪法のもの王臣等にうたへてあらんほどに彼の王臣等他人がことばにつひて一人の正法のものを


<前 P1471 次>


満月城岡山ポケット版御書