日蓮大聖人御書
ネット御書
(開目抄上)
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陳隋の智者大師にうちやぶられて仏法二び群類をすくう、其の後法相宗真言宗天竺よりわたり華厳宗又出来せり、此等の宗宗の中に法相宗は一向天台宗に敵を成す宗法門水火なり、しかれども玄奘三蔵慈恩大師委細に天台の御釈を見ける程に自宗の邪見ひるがへるかのゆへに自宗をばすてねども其の心天台に帰伏すと見へたり、華厳宗と真言宗とは本は権経権宗なり善無畏三蔵金剛智三蔵天台の一念三千の義を盗みとつて自宗の肝心とし其の上に印と真言とを加て超過の心ををこす、其の子細をしらぬ学者等は天竺より大日経に一念三千の法門ありけりとうちをもう、華厳宗は澄観が時華厳経の心如工画師の文に天台の一念三千の法門を偸み入れたり、人これをしらず。
 日本我朝には華厳等の六宗天台真言已前にわたりけり、華厳三論法相諍論水火なりけり、伝教大師此の国にいでて六宗の邪見をやぶるのみならず真言宗が天台の法華経の理を盗み取て自宗の極とする事あらはれをはんぬ、伝教大師宗宗の人師の異執をすてて専ら経文を前として責めさせ給しかば六宗の高徳八人十二人十四人三百余人並に弘法大師等せめをとされて日本国一人もなく天台宗に帰伏し南都東寺日本一州の山寺皆叡山の末寺となりぬ、又漢土の諸宗の元祖の天台に帰伏して謗法の失をまぬかれたる事もあらはれぬ、又其の後やうやく世をとろへ人の智あさくなるほどに天台の深義は習うしないぬ、他宗の執心は強盛になるほどにやうやく六宗七宗に天台宗をとされてよわりゆくかのゆへに結句は六宗七宗等にもをよばず、いうにかいなき禅宗浄土宗にをとされて始めは檀那やうやくかの邪宗にうつる、結句は天台宗の碩徳と仰がる人人みなをちゆきて彼の邪宗をたすく、さるほどに六宗八宗の田畠所領みなたをされ正法失せはてぬ天照太神正八幡山王等諸の守護の諸大善神も法味をなめざるか国中を去り給うかの故に悪鬼便を得て国すでに破れなんとす。
 此に予愚見をもつて前四十余年と後八年との相違をかんがへみるに其の相違多しといえども先ず世間の学者もゆるし


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