日蓮大聖人御書
ネット御書
(釈迦一代五時継図)
<1.前 P0637 2.次>

此の般若経は方等の後法華の前四処十六会の中に於て後三教の機の為に広く諸部の般若を説く、所謂光讃般若経文殊問般若経金剛般若経能断金剛般若経大品般若経小品般若経放光般若経天王問般若経大般若経等なり、仁王般若経を以て結経と為す、唯だ化儀は漸教の後化法は通別円なり、此の般若経の時も二乗の念処道品は皆是れ摩訶衍と説いて亦身子須菩提をして菩薩の為に般若を転教せしむ。
 玄義に云く「大人は其の光用を蒙り嬰児は其の精明を喪う夜遊の者は伏匿し作務の者は興盛す」故に文に云く「但菩薩の為に其の実事を説いて我が為に此の真要を説かず、三人倶に学すと雖も二乗は証を取る具に大品等の如し」経文に云く「爾の時に窮子即ち教勅を受けて衆物を領知し乃至而も一を取するの意無し」云云。
仏自ら四十余年の諸経を破し給う事、無量義経説法品に云く「我先に道場菩提樹下に端座すること六年にして阿耨多羅三藐三菩提を成ずることを得たり仏眼を以て一切の諸法を観るに宣説すべからず所以は如何諸の衆生の性欲不同なることを知れり性欲不同なれば種種に法を説き種種に法を説くことは方便力を以てす四十余年には未だ真実を顕わさず」云云、又云く「文辞は一なりと雖も義は各異なり」云云、伝教大師の無量義経の注釈に云く「性欲不同なれば種種に法を説くとは是れ能被の教を挙ぐるなり釈迦一代四十余年の所説の教略して四教及び八教あり所謂樹王の華厳鹿苑の阿含坊中の方等鷲峯等の般若演説一乗大小の菩薩の歴劫修行小乗の三蔵教大乗の通教大乗の別教大乗の円教頓教漸教不定教秘密教是くの如き等の前四味各各不同なり是の故に名けて種種の説法と為す」云云、又云く「但随他の五種性等門外の方便差別の権教帯権の一乗を説いて未だ随自一仏乗等露地の真実平等の直道捨権の一乗を顕わさず是の故に説いて方便力を以て四十余年未だ真実を顕さずと言う」と云云、無量義経に云く「若し衆生有つて是の経を聞くことを得ば則ち為れ大利なり所以は如何若し能く修行すれば必ず疾く無上菩提を成ずることを得ればなり、其れ衆生有つて聞くことを得ざる者は当に知るべし是等は為れ大利を失えるなり、


<1.前 P0637 2.次>