日蓮大聖人御書
ネット御書
(四条金吾殿御返事)
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身に病ありては叶いがたき上世間すでにかうと見え候それがしが身は時によりて憶病はいかんが候はんずらん、只今の心はいかなる事も出来候はば入道殿の御前にして命をすてんと存じ候、若しやの事候ならば越後よりはせ上らんははるかなる上不定なるべし、たとひ所領をめさるるなりとも今年はきみをはなれまいらせ候べからず。
 是より外はいかに仰せ蒙るともをそれまいらせ候べからず、是よりも大事なる事は日蓮の御房の御事と過去に候父母の事なりとののしらせ給へ、すてられまいらせ候とも命はまいらせ候べし後世は日蓮の御房にまかせまいらせ候と高声にうちなのり居させ給へ。
=建治二年丙子九月六日               日蓮花押
%  四条金吾殿
*四条金吾殿御返事

 はるかに申し承り候はざりつればいぶせく候いつるにかたがたの物と申し御つかいと申しよろこび入つて候又まほりまいらせ候、所領の間の御事は上よりの御文ならびに御消息引き合せて見候い畢んぬ、此の事は御文なきさきにすいして候、上には最大事とおぼしめされて候へども御きんずの人人のざんそうにてあまりに所領をきらい上をかろしめたてまつり候、ぢうあうの人こそををく候にかくまで候へば且らく御恩をばおさへさせ給うべくや候らんと申しぬらんとすいして候なりそれにつけては御心えあるべし御用意あるべし、我が身と申しをやるいしんと申しかたがた御内に不便といはれまいらせて候大恩の主なる上すぎにし日蓮が御かんきの時日本一同ににくむ事なれば弟子等も或は所領をををかたよりめされしかば又方方の人人も或は御内内をいだし或は所領をおいなんどせしに其の御内になに事もなかりしは御身にはゆゆしき大恩と見へ候。


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