日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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真言見聞

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に同ぜんか、若し十界互具百界千如を立てば本経何れの経にか十界皆成の旨之を説けるや、天台円宗見聞の後邪智荘厳の為に盗み取れる法門なり、才芸を誦し浮言を吐くには依る可からず正しき経文金言を尋ぬ可きなり[是七]。

 涅槃経の三十五に云く「我処処の経の中に於て説いて言く一人出世すれば多人利益す一国土の中に二の転輪王あり一世界の中に二仏出世すといわば是の処有ること無し」文、大論の九に云く「十方恒河沙の三千大千世界を名づけて一仏世界と為す是の中に更に余仏無し実には一りの釈迦牟尼仏なり」文、記の一に云く「世には二仏無く国には二主無し一仏の境界には二の尊号無し」文、持地論に云く「世に二仏無く国に二主無く一仏の境界に二の尊号無し」文。

= 七月 日                          日 蓮 花 押

*蓮盛抄

          / 建長七年 三十四歳御作

 禅宗云く涅槃の時世尊座に登り拈華して衆に示す迦葉破顔微笑せり、仏の言く吾に正法眼蔵涅槃の妙心実相無相微妙の法門有り文字を立てず教外に別伝し摩訶迦葉に付属するのみと、問うて云く何なる経文ぞや、禅宗答えて云く大梵天王問仏決疑経の文なり、問うて云く件の経何れの三蔵の訳ぞや貞元開元の録の中に曾つて此の経無し如何、禅宗答えて云く此の経は秘経なり故に文計り天竺より之を渡す云云、問うて云く何れの聖人何れの人師の代に渡りしぞや跡形無きなり此の文は上古の録に載せず中頃より之を載す此の事禅宗の根源なり尤も古録に載すべし知んぬ偽文なり、禅宗云く涅槃経の二に云く「我今所有の無上の正法悉く以て摩訶迦葉に付属す」云云此の文如何、答えて云く無上の言は大乗に似たりと雖も是れ小乗を指すなり外道の邪法に対すれば小乗をも正法といはん、


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