日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

義浄房御書

<前 P0893 次>


= 文永十年五月二十八日         日蓮花押

%  義浄房御返事

*清澄寺大衆中

          /建治二年正月 五十五歳御作

 新春の慶賀自他幸甚幸甚、去年来らず如何定めて子細有らんか、抑参詣を企て候わば伊勢公の御房に十住心論秘蔵宝鑰二教論等の真言の疏を借用候へ、是くの如きは真言師蜂起の故に之を申す、又止観の第一第二御随身候へ東春輔正記なんどや候らん、円智房の御弟子に観智房の持ちて候なる宗要集かしたび候へ、それのみならずふみの候由も人人申し候いしなり早早に返すべきのよし申させ給へ、今年は殊に仏法の邪正たださるべき年か浄顕の御房義城房等には申し給うべし、日蓮が度度殺害せられんとし並びに二度まで流罪せられ頚を刎られんとせし事は別に世間の失に候はず、生身の虚空蔵菩薩より大智慧を給わりし事ありき、日本第一の智者となし給へと申せし事を不便とや思し食しけん明星の如くなる大宝珠を給いて右の袖にうけとり候いし故に一切経を見候いしかば八宗並びに一切経の勝劣粗是を知りぬ、其の上真言宗は法華経を失う宗なり、是は大事なり先ず序分に禅宗と念仏宗の僻見を責めて見んと思ふ、其の故は月氏漢土の仏法の邪正は且らく之を置く日本国の法華経の正義を失うて一人もなく人の悪道に堕つる事は真言宗が影の身に随うがごとく山山寺寺ごとに法華宗に真言宗をあひそひて如法の法華経に十八道をそへ懺法に阿弥陀経を加へ天台宗の学者の潅頂をして真言宗を正とし法華経を傍とせし程に、真言経と申すは爾前権教の内の華厳般若にも劣れるを慈覚弘法これに迷惑して或は法華経に同じ或は勝れたりなんど申して、仏を開眼するにも仏眼大日の印真言をもつて開眼供養するゆへに日本国の木画の諸像皆無魂無眼の者となりぬ、


<前 P0893 次>


満月城岡山ポケット版御書