日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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清澄寺大衆中

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結句は天魔入り替つて檀那をほろぼす仏像となりぬ王法の尽きんとするこれなり、此の悪真言かまくらに来りて又日本国をほろぼさんとす。

 其の上禅宗浄土宗なんどと申すは又いうばかりなき僻見の者なり、此れを申さば必ず日蓮が命と成るべしと存知せしかども虚空蔵菩薩の御恩をほうぜんがために建長五年四月二十八日安房の国東条の郷清澄寺道善の房持仏堂の南面にして浄円房と申す者並びに少少の大衆にこれを申しはじめて其の後二十余年が間退転なく申す、或は所を追い出され或は流罪等、昔は聞く不軽菩薩の杖木等を今は見る日蓮が刀剣に当る事を、日本国の有智無智上下万人の云く日蓮法師は古の論師人師大師先徳にすぐるべからずと、日蓮この不審をはらさんがために正嘉文永の大地震大長星を見て勘えて云く我が朝に二つの大難あるべし所謂自界叛逆難他国侵逼難なり、自界は鎌倉に権の大夫殿御子孫どしうち(同志打)出来すべし、他国侵逼難は四方よりあるべし、其の中に西よりつよくせむべし、是れ偏に仏法が一国挙りて邪なるゆへに梵天帝釈の他国に仰せつけてせめらるるなるべし。

 日蓮をだに用いぬ程ならば将門純友貞任利仁田村のやうなる将軍百千万人ありとも叶ふべからず、これまことならずば真言と念仏等の僻見をば信ずべしと申しひろめ候いき、就中清澄山の大衆は日蓮を父母にも三宝にもをもひをとさせ給はば今生には貧窮の乞者とならせ給ひ後生には無間地獄に堕ちさせ給うべし故いかんとなれば東条左衛門景信が悪人として清澄のかいしし等をかりとり房房の法師等を念仏者の所従にしなんとせしに日蓮敵をなして領家のかたうどとなり清澄二間の二箇の寺東条が方につくならば日蓮法華経をすてんと、せいじやうの起請をかいて日蓮が御本尊の手にゆいつけていのりて一年が内に両寺は東条が手をはなれ候いしなり、此の事は虚空蔵菩薩もいかでかすてさせ給うべき、大衆も日蓮を心へずにをもはれん人人は天にすてられたてまつらざるべしや、かう申せば愚癡の者は我をのろうと申すべし後生に無間地獄に堕ちんが不便なれば申すなり。


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満月城岡山ポケット版御書