日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

[目次]

清澄寺大衆中

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 領家の尼ごぜんは女人なり愚癡なれば人人のいひをどせばさこそとましまし候らめ、されども恩をしらぬ人となりて後生に悪道に堕ちさせ給はん事こそ不便に候へども又一つには日蓮が父母等に恩をかほらせたる人なればいかにしても後生をたすけたてまつらんとこそいのり候へ、法華経と申す御経は別の事も候はず我は過去五百塵点劫より先の仏なり、又舎利弗等は未来に仏になるべしと、これを信ぜざらん者は無間地獄に堕つべし、我のみかう申すにはあらず多宝仏も証明し十方の諸仏も舌をいだしてかう候、地涌千界文殊観音梵天帝釈日月四天十羅刹法華経の行者を守護し給はんと説かれたり、されば仏になる道は別のやうなし過去の事未来の事を申しあてて候がまことの法華経にては候なり。

 日蓮はいまだつくしを見ずえぞしらず、一切経をもつて勘へて候へばすでに値いぬ、もししからば各各不知恩の人なれば無間地獄に堕ち給うべしと申し候はたがひ候べきか、今はよし後をごらんぜよ日本国は当時のゆき対馬のやうになり候はんずるなり、其の時安房の国にむこが寄せて責め候はん時日蓮房の申せし事の合うたりと申すは偏執の法師等が口すくめて無間地獄に堕ちん事不便なり不便なり。

=正月十一日                日蓮花押

%安房の国清澄寺大衆中

このふみはさど殿とすけあさり(阿闍梨)御房と虚空蔵の御前にして大衆ごとによみきかせ給へ。


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満月城岡山ポケット版御書