日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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新尼御前御返事

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日蓮が重恩の人なれば扶けたてまつらんために此の御本尊をわたし奉るならば十羅刹定めて偏頗の法師とをぼしめされなん、又経文のごとく不信の人にわたしまいらせずば日蓮偏頗はなけれども尼御前我が身のとがをばしらせ給はずしてうらみさせ給はんずらん、此の由をば委細に助阿闍梨の文にかきて候ぞ召して尼御前の見参に入れさせ給うべく候。

 御事にをいては御一味なるやうなれども御信心は色あらわれて候、さどの国と申し此の国と申し度度の御志ありてたゆむけしきはみへさせ給はねば御本尊はわたしまいらせて候なり、それも終にはいかんがとをそれ思う事薄冰をふみ太刀に向うがごとし、くはしくは又又申すべく候、それのみならずかまくらにも御勘気の時千が九百九十九人は堕ちて候人人もいまは世間やわらぎ候かのゆへにくゆる人人も候と申すげに候へども此れはそれには似るべくもなくいかにもふびんには思いまいらせ候へども骨に肉をばかへぬ事にて候へば法華経に相違せさせ給い候はん事を叶うまじき由いつまでも申し候べく候、恐恐謹言。

=二月十六日                  日蓮花押

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