日蓮大聖人御書全集 創価学会版
(ポケット版御書)

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土木殿御返事

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 此の十二日酉の時御勘気武蔵の守殿御あづかりにて十三日丑の時にかまくらをいでて佐土の国へながされ候が、たうじはほんまのえちと申すところにえちの六郎佐衛門尉殿の代官右馬太郎と申す者あづかりて候が、いま四五日はあるべげに候、御歎きはさる事に候へどもこれには一定と本よりごして候へばなげかず候、いままで頚の切れぬこそ本意なく候へ、法華経の御ゆへに過去に頚をうしないたらばかかる少身のみにて候べきか、又数数見擯出ととかれて度度失にあたりて重罪をけしてこそ仏にもなり候はんずれば我と苦行をいたす事は心ゆへなり。

=  九月十四日                日蓮花押

%   土木殿御返事

*寺泊御書

            /文永八年十月 五十歳御作

+                    与富木常忍 於越後寺泊

 鵞目一結給び了ぬ、心ざしあらん諸人は一処にあつまりて御聴聞あるべし。

 今月〔十月なり〕十日相州愛京郡依智の郷を起つて武蔵の国久目河の宿に付き十二日を経て越後の国寺泊の津に付きぬ、此れより大海を亘つて佐渡の国に至らんと欲するに順風定まらず其の期を知らず、道の間の事心も及ぶこと莫く又筆にも及ばず但暗に推し度る可し、又本より存知の上なれば始めて嘆く可きに非ざれば之を止む。

 法華経の第四に云く「而も此の経は如来の現在すら猶怨嫉多し況んや滅度の後をや」第五の巻に云く「一切世間怨多くして信じ難し」、


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満月城岡山ポケット版御書